2009年11月26日木曜日

花の名前について

「2人の間にシネラリア
合乗り自転車 天際まで
粘土で作ったクリスマス
わたすげの冬から あなたを守ろう」

これがモダンチョキチョキズの名曲「自転車に乗って」の一節であることはみなさんの心の中にしまっておいてもらうとして、ここで触れたいのはシネラリアという単語についてです。

ご存知の方も多いと思いますが、シネラリアとはキク科の植物のことです。多様な色のバリエーションがあり、室内でも次々と花を咲かせることで人気のある園芸用の花で、和名を富貴桜といいます。

それでもピンと来なければ、「サイネリア」ではどうでしょう。
実はシネラリアとサイネリアは同じ花のことなのです。

なぜ似たような2つの名前を持つのかというと、シネラリアだと「死ねラリア」を連想させるため、花業界ではサイネリアを一般的な流通名としてでっちあげた、ということらしいのです。

トホホです。ダジャレに屈した花の名前ってどうなんだ。
シネラリアの綴りは「cineraria」ですから、サイといえなくもありませんが、だとしたらサイネラリアじゃなくては納得いかない。

他方「cinema」という単語は、昔「キネマ」といったものを、より正しい発音をありがたがって「死ねま」に移行していった気がするのですが、まあ、こっちは「映画」といえば済む話ですね。

花の名前は結構、いい加減、という話です。

切花のランではおそらく最も有名なデンファレという花があります。
もはや、デンファレとしかいいようのないこの花、実は「デンドロビウム・ファレノプシス」の略語だったりします。ナイスいい加減。

いまやカスミソウと人気を二分する勢いのブプレリウムというグリーンのふわふわ花。
これもほんとは「ブプレウルム」というのが正式名称です。
いいづらいでしょということで、反則ファインプレー。

古い花の本を見たりすると、最近では何かと欠かせないアイテムにまで昇りつめた花後の実物ヒペリカムが、「ヒペリクム」と表記されたりしてるのを見かけます。
トウガラシの総称カプシカムも「カプシクム」と書いてありがちです。
こっちは発音ではなく、表記が先に輸入されたパターン。ともにHypericumとCapsicum。

突然ですが、サボテンのイニシャルってなんだか知ってますか?
Sに決まってる、というわけでもないんです。
サボテンの語源には諸説あり、なかでも有力なのがシャボン(石鹸)からきたというもの。そしてシャボンはイタリアの寄港地サボナに由来するらしいので、そうするとイニシャルはS(savona)になります。
一方で、サボテン研究や写真家としても知られる埴沙萌という方が唱える、サポテカ文明説というものあるんです。
古代メキシコで栄えたといわれる種族がサポテという植物をよく食していた、それがサボテンではなかったという説です。それがほんとなら、サボテンのイニシャルはなんとZ(zapotec)になってしまいます。

意外と誤解されているのが、秋桜と書いてコスモスと読む、というもの。
歌のタイトルの影響でしょうか、コスモスが和語だと勘違いしている人が多いようです。
秋桜と書いて、「あきざくら」と読むのがとりあえず正解です。了。

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