2009年8月28日金曜日

花屋にまつわる迷信?其の壱③

それからなんとなく気にしながら見聞きしていると、茎の保水処理というサービスは世界的にあまり見られないということがわかってきました。

そもそも保水処理とは、花をしおれさせないためにすることのはずです。
切花がしおれてしまうことを花屋では「水が下がる」といいますが、この水が下がってしまう原因の多くは、実は茎の保水処理をする、しないとはあまり関係のないところにあります。

たとえばキクやバラなど葉をたくさん持つ切花の場合、水下がりは主に葉の裏側から水分が蒸散することによって起きています。新聞紙で包むなどして水分の蒸散を防げれば、たとえ茎が裸のままでも、数時間、花によっては一晩くらいなんともない場合もあったりします。

ここで花の国オランダに話を戻し、「茎むき出し」にはどのような背景があるのか考えてみることにします。

まず、オランダではグリーン(葉物)が異常に安いんです。
安いというのか、花束を注文すると頼んでもいないのにわっさわっさとまわりをグリーンで固めてくれたりします。ほとんどタダ?
これは丈夫なグリーンで花を保護するという意味でもあるわけです。もちろん水分の蒸散も防ぎます。

そして、花瓶に活ける前には必ず「水切り」をすること。これがオランダでは深く浸透しているような気がします。
濡れティッシュをはがしてそのままポンと活けるより、多少茎が乾いていても、しっかり「水切り」してから活けたほうがよっぽど花は元気になるんです。

あとは欧米人の合理主義とでもいうんでしょうか…。
花束は花の束だ。というそれこそむき出しの真実を我々日本の花屋は突き付けられているわけです。ちょっと大袈裟なので、「オランダの花屋は、やや、がさつ。」ということにしておきましょう。

いろんなことをいいましたが、やはり1時間以上持ち歩かれるという方には、保水処理をしておかなければ心配になりますし、そうお勧めしています。
が。スーパーの野菜に保水処理をして持って帰るような、ひょっとしたら、日本の花文化はそんな奇妙な時代にあるのかもしれません。

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